記憶

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夜勤の仕事を終えて帰宅した。 朝食だか昼食なのか、起きている時間的には夕食にあたるものか分からぬ食事を胃袋に詰め込み、それからシャワーで丸々一日の汚れを流した。 身体が鉛を詰めたように重い。 このところ急な病欠の穴埋めで唯一独身の俺がそのしわ寄せをかぶっていた。 独り暮らしの彼女なし、上司も遠慮がない。 断りたくても、もっともな理由がなく夜勤手当というものをちらつかされて仕方なく夜勤と日勤の混在したハードスケジュールをこなしていた。 来週あたりには改善するから悪いが頑張ってくれと上司に食事をおごられた。賄賂まで受け取ると内心は別として快く引き受ける以外選択肢はなかった。
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