記憶

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────── 思い通りにことが進んだ。 あの日を境に永井さんは頻繁に俺を頼った。俺も調子に乗って世話を焼いた。 そのうち永井さんが瞳ちゃんになり、俺は尚くんと呼ばれる仲に発展した。 恋人未満、隣人以上。 俺の変則勤務は相変わらずで、夜勤の回数は減らず体力は消耗する一方だ。ただ、俺の活力源が増えたことでどうにかこなしていた。 夜勤明けで帰宅するとインターフォンが鳴る。 瞳ちゃんが食事を届けに来てくれるようになった。独身で彼女なし、その上激務で弁当三昧だと大げさでもないがぼやいた。 そうするとよかったらどうぞと差し入れをしてくれるようになった。 彼女の料理はどこか懐かしい味がした。 お礼がてら今度の休みに食事に誘った。
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