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俺が興奮気味にそう答えると、名波さんが俺を上目遣いに見てきた。
「ありがとう。あの、もし良かったら、今日も作りすぎちゃったので、食べてもらえません?実家では家族のご飯を作ってて、どうも一人の分量ってのがまだ把握できてなくて。作りすぎちゃうんですよね。鍋なんですけど。よろしかったら、一緒にいかがですか?」
いきなりの急展開!
それは、俺を部屋に招き入れる、ってことだよね?
いいのか?マジで?俺はあまりの嬉しさに即答できずに呆然としていた。
「あ、もしかして、彼女さんとかいたら、怒られちゃうのかな?」
「ま、まさか!いません、いませんよ、彼女なんて。いいんですか?お邪魔して。」
俺は慌てて否定する。
「いいですよ。だって、ご飯って一人で食べるより、誰かと食べる方がおいしいでしょ?」
俺は名波さんの部屋に招かれ、食事をご馳走になった。
思った通りに綺麗に整頓された、女の子らしい部屋だった。
久しぶりの女の子の匂い。俺は夢でも見ているのだろうか?
彼女の名前は、名波 碧(あおい)。彼女にふさわしい美しい名前だ。
その日から毎晩、俺は彼女の部屋で夕飯をごちそうになった。
悪いので、食費を渡そうとすると、彼女は頑なに拒んだ。
「どうせ食材が余ったら捨てちゃうんだから。同じことだから気にしないで。」
そう言われてしまうと、俺は引き下がるしかない。でも、彼女のために何かしてあげたい。
俺は出来る限りのことをした。ゴミだし、電球の取替え。男としてできる限りのこと。
なんか、これってもう。夫婦みたいじゃん?
俺は一人、自室で枕を抱いて嬉しさに身悶えた。
思い切って、告白してみようか。ああ、でも、まだ出会って間もないし。
軽い男だと思われるだろうか?いやいや、彼女の方から俺を招き入れてくれたんだから。
決して俺を嫌ってはいないはず。俺は思い切ってその夜、告白をした。
彼女は顔を赤らめた。
「私も、実は、一目見た時から、あなたのことが。」
嘘っ、マジか!もうこうなったら、俺の気持ちは止められない。
俺は彼女を抱きしめ、キスをした。すげー細い。華奢だとは思っていたのだけど。
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