第1章

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俺がブラウスの胸元から手を入れると、彼女が一瞬拒んだ。 「イヤ?」 俺はわざと耳元で囁くと、彼女の呼吸が荒くなった。感じてる。 「イヤ・・じゃないけど。恥ずかしい。」 「なんで?」 軽く耳たぶを噛むと、彼女が震えた。 「だ、だって。私、胸、無いんだもの。」 「そんなの関係ない。」 俺は一気に、ブラウスをはだけて、ブラジャーを外した。 するりと胸に手を滑らせると、そこにあるべきものがない。 えっ? 俺はマジマジとそこを見た。 本当だ。すげーペチャパイ。まるで男みたい。 そう思った瞬間、俺の太ももに、何か固いものが当たった。 えっ?えっ? なにこれ?えーっと、これは?俺は自分のズボンの股間を見る。 彼女の股間と見比べる。 俺と、同じ形状ではないか?これ? えっ?えっ?えっ?どういうこと? 俺のパニックを悟ってか、口を半開きにして喘いでいた彼女の呼吸も元に戻った。 「どうしたの?男だから、びっくりした?」 俺は信じたくない事実を彼女から突きつけられ戸惑った。 「ご、ごめ、ごめん。」 俺は慌てて外したズボンのボタンを閉め、おたおたとズボンをずり上げた。 信じられない。名波 碧は男! 俺が立ち上がろうとすると、凄い力で腕を引っ張られて、押し倒された。 「逃げようったって、そうはいかない!」 突然、彼女(?)から、男のような野太い声が出た。 男の声も出るんだ。俺の息子はすっかりとしょぼくれていた。 「や、やめて・・・。」 今度は俺が力なく、女のようなか細い声を絞り出す。 俺に馬乗りになった名波は、俺のシャツをはだけて首筋を舐めた。 「ひぃっ!」 俺が情けない声を出すと、急に女の声に戻った。 「ちょっとだけ、チクっとしますよぉ?我慢してねえ?」 そう言って笑い、口を大きく開けると、二本の牙がにゅーっと伸びてきた。 え? なにそれ。 男だけでも、びっくりなのに。 バンパイヤなのぉ~? 俺の首筋にチクリと痛みが走った。
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