第1章

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鳥の囀りより早く、カーテンの隙間から光が射すよりも早く私は起きていた。 起きていたと言うより寝ていない。あれから結局寝ていない。 私が眠りの扉を開き、閉じて施錠をする時に騒音が必ず聞こえ覚醒する。 左隣りの壁から、ドンドンガンガン… 何度も繰り返し、とうとう朝になってしまった。 きっと酷い顔をしているに違いない。 コンコン 「あっ、来た」 今日はすぐに玄関へ向かった。 「はい、どちらさまでしょうか」 「オハヨーゴザイマスー」 片言の日本語。どうやら他国の人のようだ。 ドアを少しだけ開け、 「何か用ですか?」とぶっきらぼうに尋ねてみる。 30代前半の可愛らしい女性だった。後ろには恥ずかしいのか、男の子と女の子が母親らしき女性の服を掴みもじもじしていた。 満面な笑みで女性は言った。
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