となりの天使

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「君は何の罪を犯して、ここに落とされたの?」 モナミの指をそっとかわし、僕は訊いてみた。 「同僚の彼氏を寝取ったの」 「そりゃあ………重罪だね」 フフッとモナミが笑い、吐息が僕の唇に触れる。 その時。 まるで舞台演出のように部屋の電気がスッと消えた。 「来た」 モナミが短く言う。 同時に空気がピンと張り詰めた。 「ありがとうね龍一。バイバイ」 温かい吐息。 そして少女の唇がそっと僕の唇に触れ、それと同時に目の前が真っ白にスパークした。 本当に、それは一瞬のことだった。 二度ほど瞬きした僕の周りにあったのは、ごく平凡な、今まで通りの僕の部屋だった。 周りを見回しても、彼女の姿はどこにもない。 ただあの細い指先の感触と、優しいキスの余韻が、僕の唇にしっかりと残されただけで。 あの子はもしかしたら、とんでもない魔性の子なのかもしれないなあ……。 そうだとしたら、きっとそのうち、また下界に落とされる。 ベッドの上にふわりと残された、つややかな黒い羽根を一枚つまみ上げ、僕は一人微笑んだ。      (END)
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