第1章

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そしてある日、彼は私の家にいちごを大量に持ってきてくれた。 実家から送られてきたものらしいが、一人では食べれそうになくジャムにしたりスイーツに使ったりとしてもなかなか減らないということでくれたのだが…… 「あなたはいちごが好きですからね」 彼はまたしても不思議なことに私の好きなものを知っていた。 美人な彼は私によく構ってくるようになった。 毎日の挨拶の他に、おすそ分け、一緒に買い物、一緒にごはん、いつの間にか合鍵まで渡すようになってから家に帰ると私の帰りを待ってご飯を作ってくれている日もあった。 だんだんとただのおとなりさんというよりもまるで恋人に近いような毎日を送って一週間が経とうとしていた頃。 仕事から帰ると、珍しくおとなりさんは挨拶をしに出てくるわけもなく私は家に入ろうと鍵を鞄から出そうとした時…… 「おかえりなさい」 彼は出てきた。 そう、私の家から…… そして私はそのとき気づいた。 隣の部屋は……空き家になっていることに。
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