出会い

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出会い

オレは、ボロいアパートにいた。 ひとりだった。 「あなたも今日来たの?」 「ああ、そうだよ」 「わたし、隣に住んでいいかな?」 「誰もいないから、いいんじゃないかな?」 「ね、お話してもいい?」 「ああ、いいよ」 「わたし、坂上祥子、よろしくね」 「オレは、田上健二だ、よろしく」 「ねぇ、触ってもいいかな?」 「ああ、いいよ」 「あ!ほんとだ!触れるんだね!」 「うん、オレもさっき試したんだ」 「へー!じゃ、ここでも恋ができるんだね」 「気が合えばできるだろうね」 「ねぇ、一緒に恋をしない?」 「うん、いいよ。今は特に、なにかしたいこともないし」 「やる気ないのね」 「うーん、そうでもないけどな」 「ね!飛ばない?」 「うん、行こうか」 オレは祥子の手を取り、大空を飛んだ。 「すごい眺めね!ああ!きれい!」 「うん、そうだね。君も、祥子もきれいだ」 「なぁに、もうくどいてるの?」 「本当のことをいったまでさ」 「そうよね、あの頃とは全然違って、  すごい開放感があるわ!」 「君だって、さっき、一緒に恋しない?とかいったじゃん」 「そういえばそうね!いいたい事がいえるって、  すごいことだよね!」 「ああ、そうだね。あの頃はなぜ言えなかったんだろう?」 「わたしも、わかんないわ」 「みんなも、一緒なのかな?」 「見た目の好みはあると思うけど、一緒なんじゃない?」 「それじゃ、オレは顔パスだったんだ」 「そういうことね。健二は、  わたしのことも気にいってくれたみたいだし」 「ああ!いい女だからな!放すのはもったいないだろ!」 「ありがとう!健二、もう、好きになっちゃったわ」 「ああ!オレもだ。」 「でも、みんなとこんな関係になっちゃうのかしら?」 「さぁ、案外まともなものは少ないみたいだよ」 「やっぱり、ダメージがあったのかな?」 「たぶん、すぐにできなかったんだろ?  訳わかんなくて」 「うん!それは言えるよね!現実を見つめてたら、  こんなに気持ちいい気持ちになれたのにね!」 「ああ!そうだよな!」 「ねぇ!あそこの展望台に行かない?」 「ああ!いいね、行こうか!」 展望台の屋根付きの休憩所の上に降りた。
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