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彼は隣の部屋から響いてくる、物を搬入する音と、搬入している男達の怒鳴り声で目を覚ます。
彼は寝足りない顔のまま、部屋の外の通路に出る。
通路には、隣の部屋に物を搬入している男達の列と、それを監督している男がいた。
顔見知りの監督をしている男に、声をかける。
「他にも空いている部屋は沢山あるんだ、他に行けよ」
「あ!?
隣お前の部屋だったのか?
悪いな。
河に架かる橋と、川向こうの川沿いの道路を見るのに、この部屋が一番適していたのさ」
彼は隣の部屋に搬入される、幾つもの物を見ながら舌打ちをした。
「チィ」
彼は自分の部屋に戻り、自分が包まっていた毛布をリュックサックに括り付け、自分の大切な物を持つと、部屋を出る。
彼は、隣の部屋に物を搬入している男達の間をすり抜け、マンションの出入り口から外に出た。
マンションを出た彼の耳に、上階の方から、重機関銃の重い発射音が響いてくる。
彼は振り返り上方を見上げた。
彼の目に、内戦初期の砲撃戦で、窓のガラスが全て吹き飛んだマンションと、彼がいた部屋の隣の部屋から伸びる、重機関銃の火線が映る。
彼、……民族義勇軍の13~4歳の少年兵は、自分の大切な物、ドラグノフSVD狙撃銃を両手で抱え、以前から目星を付けていた、次の狙撃ポイントに向けて、小走りで移動を始めた。
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