第1章

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俺は、あいつが忘れた携帯でいろんなトラップを仕掛けておいた。 まずは、女の鉢合わせ。 そして、極めつけは、踏み倒した借金取りへの密告だ。 そのあくる日から、あいつの部屋は修羅場になった。 女の言い争う声。 強面の借金取りの鬼のような催促。 居留守をキメていたあいつのいる時間帯を教え、俺にぺらぺらとしゃべった職場も教えてやった。 あいつは夜逃げ同然に逃げて行った。 ざまあみろ。 これで俺に平穏な日々がまた訪れる。 と、思ったが、あいつのとんだ置き土産があったんだっけ? 「アリガトウ。ヤサシイノネ。」 女がそう言うと、目に輝きが戻った。 その瞳はとても美しかった。 「成仏しろよ。」 俺が言うと、女は微笑みながら頷いた。 願わくば、俺にツイてる時も、その姿で居て欲しかったものだな。 「サヨナラ」 「じゃあな。今度生まれてくる時は、ちゃんと相手を見極めるんだぞ。」
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