2人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は、あいつが忘れた携帯でいろんなトラップを仕掛けておいた。
まずは、女の鉢合わせ。
そして、極めつけは、踏み倒した借金取りへの密告だ。
そのあくる日から、あいつの部屋は修羅場になった。
女の言い争う声。
強面の借金取りの鬼のような催促。
居留守をキメていたあいつのいる時間帯を教え、俺にぺらぺらとしゃべった職場も教えてやった。
あいつは夜逃げ同然に逃げて行った。
ざまあみろ。
これで俺に平穏な日々がまた訪れる。
と、思ったが、あいつのとんだ置き土産があったんだっけ?
「アリガトウ。ヤサシイノネ。」
女がそう言うと、目に輝きが戻った。
その瞳はとても美しかった。
「成仏しろよ。」
俺が言うと、女は微笑みながら頷いた。
願わくば、俺にツイてる時も、その姿で居て欲しかったものだな。
「サヨナラ」
「じゃあな。今度生まれてくる時は、ちゃんと相手を見極めるんだぞ。」
最初のコメントを投稿しよう!