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「それはそうなんだがな。鎖骨は固定するのも難しいし、万一折れたら厄介な部位だ。それに入学していきなりキミがそこを骨折しては、物語のオリジナリティに支障をきたす」
「そうですか……」
後半は何を言いたいのかサッパリだったが、多分この人は別の次元の何かと戦っているのだろうなと思った。
「それより、こんなところで立ち話もなんだ。部屋でゆっくり話をしようじゃないか」
「こんなところって、ここウチの玄関なんですけど。つーか、アンタさっきから座ってるじゃん! 立ってるのオレだけだし!」
どうしよう。
この人、本格的にウザい……。
しかもオレ、未だにこの人の名前を知らないし。
「私の名前は、保科君代(ほしな きみよ)だ。ちなみに母親が父をオトした一言は『保科クンの、欲し~な』だそうだ」
うわ、エスパー?
「そして母親が父のなにを欲したかというとそれはナ……」
「止めろッ! いい! もう聞きたくない!」
ナニ、この人。危なっ。
「そうか……。では代わりに、私がプロポーズされるとき言われたい台詞を言おう。私は『保科さんが、欲しいな……』と甘く耳元で囁かれたい」
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