第二章『鎖骨じゃなくて、よかったな!』

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うっとりとした表情で先輩はそんなことを言った。 他人の見た夢の話に並ぶ、ものすごくどうでもいい情報だった。 「安い女ですね……」 思わず本音がこぼれる。 「失敬だな、キミは。ロマンが足りないよ、ロマンが。もしや反浪漫主義派か? 浪漫な飛行したくないのか? 原チャからは飛んだというのに」 「そ・れ・は! アンタのせい! 大体ロマンって、それ、ただの親父ギャグじゃないですか!」 「フゥー」 保科先輩は大きな溜息をついてから、無言で二階に上がっていった。 「……?」 それから聞こえてきたのは『やれやれ』という呆れた調子の保科先輩の声と、どこかの部屋に保科先輩が入った音だった。 あまりに自然な動作にオレは棒立ち、しばし逡巡。 そして我に返り 「ちょっと、待てやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 かつてないほど激しく階段をと駆けのぼった。 「くさっ!なんだこの臭い!?」
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