第二章『鎖骨じゃなくて、よかったな!』

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「相殺できるか! むしろ悪化してるわ! しかも、去年買ったってナメてんのか? 大体、サバ缶じゃないって言ってんだろ!」 「そうだな、面目ない……。まさかここまでの悪臭とは思わなかった。しかも晴水の部屋は清涼感のあるいい匂いだったし」 え、マジ? オレの部屋、いい匂いすんの? 小学生以来、初めて部屋に入った異性にそう言われるとなんか照れるな……。じゃなくて! 「じゃあなんで開けた!」 「だから、暴発したのだ。古かったから発酵が進んでいて缶がパンパンだったからな」 「……じゃあこの缶切りは?」 オレは部屋の隅に追いやられていたブツを保科先輩に見せた。 「…………」 「…………」 目線のぶつかり合いが生じる。 「……済まない。実はもったいないと思って私が開けたのだ」 「やっぱりか、バカヤロー! もはやただの迷惑行為だろ! 何考えてんだよ!」 「だが、これは信じて欲しい。床に放り投げた時、ちょっと缶に亀裂が入ってしてしまったのは本当だ」
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