第二章『鎖骨じゃなくて、よかったな!』

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それもかなりうさん臭い話だけど……。 「膨らんで破裂しそうな缶を、乱雑に扱った時点で切腹モノだと思いますけどね」 オレは冷ややかにつっこんだ。さすがに今回は先輩も悪いと自覚しているのか、申し訳なさそうな顔をしていた。 「晴水……。この度は重ね重ね迷惑をかけてすまなかった」 「先輩……」 「今度から、悪ふざけは出来るだけ控えるよ」 「ふざけてる自覚あった! 嫌なヤツだな!」 しかもやっぱり反省してなさそうだし! 「まあ、たくさん面倒をかけたし今日はおいとまする。本当に今日はすまなかった。では!」 保科先輩は目の上でブイサインをしてドタドタと階段を駆け降り去って行った。 やっと帰ったか……。 「……ん?あ、待て! 持ってかえれよ、シュールストレミング!」 それからしばらくの間、オレの部屋から魚介類の腐った臭いはとれなかった。 シュールストレミング? ああ、それなら後で美味しくいただきましたよ。 オレが、一人で。
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