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そういえば、王道くんの同級生に大体腐男子が居るからって、王道くんの手掛かりに腐男子を探していたんだった。
そしたら姫神がピンチになって今に至ると…。
当初の目的からかなりそれているんだが…。
俺はBLウォッチングと腐男子発見と王道くんの転入によるイベントを眺めたいだけで、平凡な毎日を過ごしたいんだ。
なのに何で風紀委員長何てしてるんだ。
思わず頭を抱える俺に姫神が不審そうな目を向けてくるが、無視だ無視。
俺は姫神を完全に無視して自問自答を始めた。
まず、何で俺は風紀委員長なんてものになったんだ?
……確か、中等部に入ったときに教師をいじめる生徒がいて、それを助けようとバカやらかした姫神がいて…
…ん?姫神?
そういえば姫神はいつも問題の渦中にいるが…
やたら喧嘩して停学になるし、今回だって河崎崇仁との件の中心的な存在で思いっきり巻き込まれてたし…
あれ?こいつがほぼ問題の種じゃね?
俺の平穏を脅かす危険な存在じゃね?
話がまた反れてるが今はそれどころじゃない。
学園で起こる問題にはよくよく考えるとこいつが絡んでいることが多い。
つまり、こいつに悪気が無くてもこいつが風紀を乱してるということで…
「お前のせいか!!」
そう考えていた俺は思わず叫んでしまった。
「ぅおっ!?な、何だよ急に!?」
突然叫んだ俺に驚いたように肩を揺らし、目を見開いてこちらを見てくる姫神。
驚いてポカンとしたその表情は、いつも眉間によっているシワがとれ、あどけなさを感じさせるものであったが、俺は騙されないぞ。
その隙だらけの表情が可愛くても騙されない。
俺は…「チッ!また黙りかよ。訳のわかんねぇやつ…。」
また思考の海に沈んでいた俺に悪態つく姫神であったが、ふと、プリンを見ると目を細めた。
「でも、これお前が作ったんだろ。すげえうめぇな…。俺、こんな旨いもん食ったのは初めてだ…」
そう言って姫神が微かに微笑んだ。子供みたいな表情(かお)で。
「っ…!」
それを見た俺は言葉を失い、バッと顔を姫神から背けた。
そして両手で顔をおさえる。
………その反応は反則だろ…
…可愛すぎかよ!!
俺は深く頭を抱え込んだ。
何となくだが俺は姫神には勝てない、そんな気がする…。
俺はスプーンを加えてもっと寄越せと言わんばかりに掌を差し出してくる姫神にプリンを渡しすと、眉を下げて溜め息をついた。
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