噂の二人

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ブォン!と、勢いよく風を伐りながら繰り出された姫神の右腕を俺はスレスレで避ける。 「ちょっと、まだスタートの合図は…「うるせぇ!」」 攻撃を避けた俺は姫神に抗議しようと口を開くも、姫神の怒声によって遮られた。 先程"お前のそういう態度が気に入らない"見たいな事言ってたけど、大体そういうキャラ設定だし、俺全否定されてね? もしかしたら姫神からすると、そもそもソリが合わないと言うか、生理的に受け付けないレベルなのかもしれない。 うわぁ、だったらショックだなぁ。 何て思った自分が居たことに俺は驚きが隠せなかった。 自分を演じて生きていくと決め、その上で嫌われることなど多々あるし、それを仕方無いと断じていた自分が、まさかショックをうけるとは思ってもみなかったからだ。 だが、姫神に嫌われたくなくとも彼は俺のことが嫌いみたいだし、嫌われるようなことをしてきた自分が悪い。 俺は諦めた表情で折を見て姫神に負ける事を心に決めた。 そんな俺の心中など知らない姫神は、割りと無駄のないパンチや蹴りを繰り出してくる。 俺はそれを避け続け、ある程度で当たって負けようとしていた…その時、姫神が吼えるように叫んだ。 「何でテメェは!!」 「……?」 突如叫んだ姫神に俺は目を見開きつつ、姫神の拳をかわす。 それに追撃するように姫神は、鋭い蹴りを放ったが、俺はそれすらも軽々と交わした。 そんな俺を忌々しそうに睨んだ姫神は、荒々しい口調で更に話しはじめる。
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