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「テメェは俺の欲しいもん全部持ってるくせに!なのに何でテメェはそうなんだよ!!」
「…………欲しいもの…?」
姫神の言うことがよくわからなかった俺は、思わず聞き返した。
姫神が欲しいものを俺が全部もっている?
姫神が欲しいものとは何だ。それが原因で俺が嫌いなのか。
等々、様々な疑問が湧いてくる。
そんな俺に、姫神は憤怒と嫉妬の交ざった表情を浮かべた。
「やっぱり気づいてないよな……だからお前が嫌いなんだ!!家の当主の座も!地位も名声も力も!何もかも持って生まれて、何もかも与えられてきたくせに!自分は何一つ満足していない顔で人形みたいな目をしてたお前が、今度は何かを演じるように思ってもない言動ばかり………」
「…………」
「ムカつくんだよ………俺がどれだけ望んでも手に入らないものを涼しげな顔で持ってやがるくせになにも望んでないその姿が!何かを演じる心ない行動が!どうしようもなくムカつくんだよ!!」
バキッ!!
吼えるように叫んだ姫神の拳が、俺の頬に鈍い音をたてながら入った。
身体は飛びはしなかったものの、棒立ちのまま頬で拳を受け止めた為、一瞬ふらついたが根性で持ちこたえる。
鈍い音に反して痛みは感じないと思っていたのだが、後になってズキズキと痛み出す頬。
しかし、そんなものには構ってられないと、俺は姫神に視線を向けた。
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