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「………………。」
一生懸命思いを伝えてみたが、姫神は黙り混んでしまった。
まぁ、散々軽薄な台詞ばかり吐いて、本心を悟らせないように生きてきたんだ。
今更本心なんて語ったところで、信用などしてもらえるかどうか……。
俺は諦めるように、目を閉じた。
もう今後一切姫神に近付かないようにしながら守るしかないか……。
少し離れた位置でも俺なら守ることは可能だろう。
何なら、俺の部下にと望むDクラスの生徒に見張らせて逐一報告をもらって……。
うん。不可能ではないか。
やっぱり、人を欺き続ける俺には相手からの憧れ抜きで友達なんて出来る筈も無かったんだな……。
目を閉じたままそう思考した俺は、覚悟を決めて再び目を開いた。
すると、自然と姫神と目が合う。
別に何も怖いことなどない。
たったの一日姫神と過ごした時間を全て忘れれば良いだけなのだから。
俺は何時ものように口元に笑みを浮かべながら、口を開こうとしたが、それは遮られる。
「お前、また嘯くつもりかよ。」
そう言った姫神の眼光は何時もよりも数段鋭い。
姫神は大股で俺との距離を詰めると、無抵抗の俺の胸ぐらを掴んだ。
「ようやく本心を見せたかと思えば、また嘘を重ねるつもりか!?ふざけんな!!」
「!?」
俺は姫神の台詞に息を飲む。
どうして本心だとわかったのか……。
先程の台詞は嘘だと思わなかったのか……。
浮かび上がる様々な疑問は、口にする前に姫神が答えを告げる。
「…どうして嘘と本音を見分けられるか不思議って顔してるな。そんなもん、ずっと見たからわかるに決まってんだろ!アホか!!!」
「……は?」
姫神が告げた答えは予想外すぎるもので、俺は思わず素に戻って間抜けな声をあげた。
何だか告白じみた台詞だ……
そんな場面ではないはずなのに、そう思ってしまえば、自然と心臓が早鐘をうつ。
何だか少し顔が熱い……。
何で、こんな気持ちになるんだよ……!
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