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「…河崎崇仁。食事中に横から入ってくるなんてマナー違反じゃないかい?」
「そういう君こそ、人の噂をこんなところでしてるじゃないか。俺はそれがたまたま耳に入っただけだよ」
俺が箸を置いて睨み付けながら批難すれば、河崎は悪びれずに答えた。
いちいち感に障る男だ。
「ふぅん。どこで何を話そうと俺の勝手だと思うけど。噂を耳にしたくないなら大人しく引きこもっておけば?」
「別に噂をしていたことを責めてなんていないさ、それで俺が何だって?」
河崎は俺の挑発を気にした風もなく、胡散臭い笑顔のまま問うてきた。
食堂内の温度が下がったように感じるのは俺の気のせいではない。
俺と河崎から発される殺伐とした雰囲気に、周辺の席にいた生徒達はそそくさと退散し始めていた。
「別に、君がとても"素晴らしい"風紀委員長であったことを話そうとしていただけさ。ここに居られては食事をしにくいからさっさと退散してもらえるかい?」
「素敵な皮肉をどうもありがとう。しかし、退散はしないよ。まだ話があるからねここに同席させてもらおう。」
「はぁ???」
河崎は俺の皮肉をものともせず、図々しく姫神の隣の席に座った。
こいつ一体何のつもりなんだ…。
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