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私たち家族は弁護士さんに挨拶をするのに時間がかかるので、光たちは先に裁判所を出て行った。
両親が弁護士の先生にお礼を言っている間、私はそのロマンスグレー弁護士を凝視した。
むむむ~。確かに音無さんに似てる!やはり親子か……。
でも、名前は『音無』じゃなかったような……。
きっと訳ありなんだろうな。
音無さん、あんなんだし……
両親はこの後弁護士の先生ともう少し話があるというので、私は光と帰ることにした。
「おまたせ~」
外に出て手を振ると、光が走り寄って来る。
「あれぇ、音無さんたちは?」
「それがね。外に出た途端、急いで帰っちゃったの。なんでかな?」
それはね、光。―― まあ、いいか。
光はそれどころじゃないだろうし……。
駅の改札を抜けると、光とは乗る路線が分かれるからここでお別れだ。
私は右手を差し出した。
「今度は光の番だよ! すっきりしておいで!」
力強く頷く光は、決意の目をしている。
あの目ならきっと大丈夫!
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