ファミリータイズ

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 電車に揺られながら、リョウの事を考えていた。  リョウ痩せたな。  それに、なんだかリョウ自身を鼠色のラップでぐるぐる巻きにしてから、歩かせて、あの場に立たせたみたいだった。  私を監禁していた時の、あの、なんていうのかな。  生き生き、っていうのかな……、そんな雰囲気は一切なくなっていた。  もちろん、あの時のリョウを思い出すと、今でも怖い。  でも、襲い掛かる前のリョウは確かにただの普通の青年で、突っ込みどころ満載で、迂闊にも少し可愛いなあ、とか思ったくらい、人間らしかった。  何があったのか知らないけど、今日のリョウは人形だった。  最初っから最後まで、まるで血が通っている素振りがなかった。  リョウ、大丈夫かなぁ……。  しんみりした思いで自宅までの道をとぼとぼ歩いた。  家の前まで来ると、誰かが門の前で立っているのが見える。 「ん? だれ?」   警戒しつつも、どこかで見たことがある様な横顔に、思わず声を掛けた。 「あの……、うちに御用ですか?」    振り返った青年(たぶん大学生くらい)は、黙って私を凝視していた。 サラッと横に分けた髪が、一重なんだけど甘さのある目元にかかってる。  うわっ、なんだろ。デジャブ!? 少し大きめの鼻とか、誰かに似てるんだよねぇ。すごく身近な……、よく知っているような……。
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