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「兄さんの恋人なんですよね!?」
全く見当違いな思いこみを、核心に満ちた目でぶつけてくる。
「はぁ~!? ありえないんですけど!?」
誤解も、誤解! 甚だしいわよっ!
私たちが家の前で言い合いをしていると、白いセダンが近づいて止まった。
口を噤んで見守っていると、後部座席から母親と父親が、運転席からはロマンスグレー弁護士が出てきた。
「奏多、何やってる?」
「と、父さん!」
あ、やっぱり。ここ親子なのね。
ということは……
いつだったか、母親がウキウキで報告してくれたイケメン大学生って、この奏多青年のことか。
イケメン大学生だけなら、大歓迎なんだけどね~。
関わるのは、いささか厄介な気がする。けど……。
私はしばらく迷った末、奏多青年に声を掛けた。
「あの、家に入りませんか? さっきは、事情は聞かないって言ったけど、協力するならやっぱり事情は聞かないと……」
というか、音無さんとの誤解をきっちり解いておかないとね!
奏多青年とロマンスグレー弁護士は、お互い目配せで会話中。
この気まずい空気を、ウチの両親も何か感じたみたい。
お礼もありますし、どうぞどうぞ。と誘い文句を並べたて、家へと招き入れた。
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