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ソファで固まる奏多青年と、心底困った顔のロマンス弁護士。
まずは気まずい沈黙を打ち破るように、ロマンス弁護士が口を開いた。
「改めまして、自己紹介させてください。
私は小宮誠一と言いますが、2年前に離婚しましてね。
『音無』は妻の性なのですよ。
事務所の名前が【サイレント法律事務所】ですから、子供たちはそのままの方が良いだろうと思いまして、私だけ苗字が違うのですよ」
弁護士事務所で会った時は、全く気が付かなかったけど、こうして見るとお父さんも音無さんそっくりだわ。
「ところで明子さん。今日の公判、息子も来てましたが、息子とはどのような?
アイツは何か、お世話をかけているのでしょうか」
うわ~、音無さん、あんなに怪しい変装も意味なし。バレバレよ!
「ああ~、えっと。そうですね。
音無響さんとは、友人を介して偶然知り合いまして。
何というか、まあ、それなりに仲良くさせてもらっています……」
「そうですか……。2年ぶりかな。あいつの姿を見たのは。
しばらく見ないうちに、なんだか風貌が変わって……。
あいつ放浪でもしてるんですかね?」
え~っ!? あれ、受け入れちゃう?
あれ、どっからどう見ても変装でしょう!?
もしかしてこの人、めちゃめちゃ天然なんじゃないの!?
「あ~、あのぉ…、普段は、もう少しさっぱりした感じですよ?」
どんなフォロー? 私……。
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