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「あ!そうだ。光、音無さんのことで、ちょっと相談があるんだけど……」
私は、音無父が担当弁護士だった事、いい大人の音無さんが謎の家出をしている事を話した。
光も音無さんの家出の話は初耳みたいだ。
う~ん。やっぱりそうか。
「それでさ、近いうちに音無さんから話を聴きたいと思うの。
やっぱり音無親子を放っておけないというか、なんというか。
でね、言いにくいんだけど、光から話してくれないかな……」
『え? 私から?』
「だって音無さん、光には甘いじゃん~」
『そうだけど~』
「私さ、最初は音無さん、苦手だった。
光とはあんなだったし、はっきり言って関わりたくないって思ってたんだけどね。
あの年で家出とかって、普通じゃないでしょ?
なんか、放っとけなくなったというか……、いつの間にか、するっと懐に入り込まれたっていうの?
私ともあろう者が。ったくねぇ~」
『ふふふっ。明子も丸くなった?
……うん。わかった。とりあえず、聞いてみる。
話してくれるかどうか、わからないけど』
「ありがとう! 助かるわ~!」
『ううん。だって、私にとっても音無さんは、大事な人だし……』
「大事な人か。
まあ~、ある意味、身内みたいなもんだしね。
光、なんか吹っ切れた? 泉さんの愛のパワーってやつ!?」
からかうと、光はめちゃめちゃ幸せそうな声で、小さく笑った。
「明日、音無さんの予定聞いたら連絡するね~。
そ、れ、と! 泉さんの事! 明日詳しく聞くからね~!! おやすみ~」
よし!! 私はガッツポーズを決めた!
誰に見せるわけじゃないけど、嬉しかったから!
光は『三角関係恐怖症』を乗り越えて、泉さんに思いを伝えた!
ちゃんと、欲しいものは欲しい。って言えたんだ!
あ~。光の恋が実って、本当に私もうれしい!! けど、少し寂しい。
こりゃ、娘を嫁を出す父親の心境だな……。
何だか複雑……。
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