第1章

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この鶴屋めゐ子とやらの身辺を探ることにした。 「そもそもなんで鶴なんだ」 「何かしらの恩返しをしないとずっと鶴なのです」 「ってことはあんたは恩返しをしてないってことか」 「そもそも恩返しをするような場面に出会わないのです」 それもそうか。いや待て、そうじゃなくて。 「じゃなくて、なんで鶴になってるのか、って話だよ」 「これですか?先祖代々こうですよ?恩返しをしないと人間になれないのです」 「人魚みたいだな」 「そんなものです。違うのは」 「ん?」 「鶴のままだと、20歳になると死ぬ、というところでしょうか」 なんかいきなりシリアスになったな。 「いまいくつだよ」 「初対面のレディにそんな事を聞きますか?普通」 「そんなんいってる場合かよ」 「はい」 えー。そんなんいってる場合なのかよ。 シリアスになったと思ったけど、どうやらそうでも無いようだ。 「まぁ、明後日20歳なんですけどね……?」 「……はぁ!?」 「この私、鶴屋めゐ子は、明後日をもって20歳になります!」 「それまでに恩返しをしないと……!?」 「死にます。祖先にもいました」 急展開にもほどがある。 とは言え、このめゐ子なる人(鶴)が辛いところを助けてやらないと、そもそも恩返しが成立しない。
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