第1章

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「轟さん、このプランはマイナスです。」 そう言って今日もヤツは私の企画書を評価する。 「もう少し面白いアイデアはないのですか?毎回、毎回同じような内容ですよ。」 あったらとっくにやってるわっ! という、心の声は飲み込んで、私は今日も 「すみません。」 という。 「今のもマイナスです。謝罪ではプランはどうにもなりません。もう一度練り直しです。」 「はい。」 ヤツの手から企画書を奪い返し席へ戻る私を横から笑う同僚。 「轟さん、今日も絶好調でマイナスだね。どんまい。」 轟りさ(とどろきりさ)。私の名前。難しいのか簡単なのかよく分からない名前なのは自分でも理解してる。 「はぁ、今日も残業決定の私にそんなに追い討ちをかけたいの?」 横目に同僚の青柳を見る。 「滅相もございません。」 大袈裟に手と首を振り青柳。 「まぁ、神山さんのプラスマイナスは今に始まったことでもないしね。とりあえず、御愁傷様です。」 そう言うと青柳は自分の仕事に目を落とす。 「はぁ。」 私も何度めかわからないため息をつき、マイナスを貰った企画書を睨む事にした。
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