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「轟さん、マイナスです。」
3時のおやつタイムが少し過ぎた頃、りさはまたしてもマイナスを貰うのである。
神山の席まで急ぐりさ。到着と同時に放たれる言葉。
「いい加減学んではいかがですか?毎回同じような間違い。確認はしていますか?」
ストレートな神山の言葉はズキンと、りさの心を抉る。
それは、自分でもわかっていた事だからだ。
似たような企画、何度見直しても間違いがある書類。合わない数字。
りさも、確認はしている。何度も。それでも何故かミスがあるのだ。
「はい。申し訳ありません。」
ぐっと下唇を噛み締めて、耐えるりさ。
「あ、とどろ「失礼します。」」
それ以上聞きたくなくて、半ば引ったくるように神山から自分の企画書を奪い席に戻るりさ。
(くやしい、くやしい、くやしい。)
席について再度書類の確認から始める。
(なんでできないんだろう。)
最近のりさはそればかり考えてしまう。
(向いてないのかな…)
朝早くに出勤して人より長くの時間を掛けて仕事をしているのに自分だけできない。
「轟さん、大丈夫?」
青柳が声を掛けるがりさの思考はそれどころではない。
潮時なのかな…。
そんなりさを神山が見ていたことなどりさが気づくことはなかった。
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