雪乃 SIDE(1)

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クリスマスイブ。 恋人のいないアタシには早く終わって欲しい一日。 だけど、今年は陸と食事の約束がある。 友達として会う様になってから、初めてのイブ。 恋人でもないのに、こんな日に二人で食事なんて変な感じだが、一人で過ごすよりずっといい。 バイトを終え急いで帰宅すると、シャワーを浴び身支度を整える。 クリスマスらしい赤のワンピースに袖を通し、髪をゆるく巻くと、唇に艶やかなグロスを指で彩った。 待ち合わせは七時。 以前、陸と一緒に食事をしたレストランが美味しくて、今日もそこでディナーの約束をした。 コートを羽織り、少しヒールの高いパンプスを履いて外に出る。 吐く息は白く、顔をなでていく風は冷たい。 キラキラ輝く電飾と、時折聞こえるクリスマスソングが、アタシの気持ちをワクワクさせた。
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