第2章

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「おっさんさんは、大学で、何の研究を、しているんですか」 「鳥を使った再生医療。その、おっさんに『さん』は要らんよ」 僕の前に、コーラが置かれた。 おっさんは、缶ビールをグビッと一口飲んだ。 おっさんの喉が揺れた。 僕は、おっさんの喉の動きに見入った。 「で、少年は、何故に我がバイオサイエンス学部へ?」 「僕の兄、昔、体の一部を、無くしちゃったんです」 おっさんは『角』を滑らせて、興味なげに「ふーん」と呟いた。 僕は、おっさんを見上げながらコーラを一口飲んだ。 部屋に、僕から出たゴクリという音が響いた。 なんだか、僕がおっさんを前に、生唾を飲んでいるかのようで、恥ずかしかった。 「で、無くしちゃった部分を、少年が作るのが、ゴールなん?」 「そうです。だから、おっさんさんの研究…、再生医療、とても興味があります」 「少年よ、『さん』一つ多いって。おっさんね、おっさん」 「す、すみません……」
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