第2章

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「あのさ、白目のショウジョウバエって、自分のこと、赤目じゃないって、嘆いてるんかなあ?」 おっさんの喉の動きに気を取られていた僕は、我に返って、おっさんの顔に、視線を移した。 背の高いおっさんは、僕を見おろしている。 しばし、見つめ合い。 おっさんのボサボサの髪の合間から、シルバーの、小さなピアスが光った。 やばい、おっさんなのに、顔見てても、萌えそうだ。 何故だろう? 「赤目になりたい白目がいたとしても、 白目のほうが数が多い世界に行けば、 赤目になりたいなんて、 思わなくなるかもね。 私の言いたいこと、わかる?」 「すなわち、兄は、住む世界が異なれば、、」 「何も欠けてない」 ナニモカケテイナイ。 そうか、誰もくれなかった答えをくれるからか。 だから、こんな風貌のおっさんだけど、僕の世界では、萌えさせてくれる女に、なりつつあるのかも。 コーラに酔ったかな。 「赤目も白目も、私たちから見れば、ハエでしかないしね」 おっさんは、空になったビールの缶の腹を、ペコンと凹ました。
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