第3章

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「ところで、おっさんさん。部屋に男子をあげても、大丈夫なんですか?はい、王手」 僕は少なくなった駒を駆使して、王手飛車取りを狙った。 「少年よ、君の手はストレートすぎる」 おっさんは、二缶目のビールをプシュッと開けると、『金』を移動した。 僕は、将棋盤を凝視し、固まった。 その一手で、僕は、王にも飛車にも、手が出せなくなった。 その一言で、おっさんにも手が出せなくなった。 「ところで少年は、女の人の部屋に一人で上がって、大丈夫なんですかぁ?」 僕はおっさんを見上げた。 酒も飲んでいないのに、自分の頬が少し赤らんだのがわかった。
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