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僕を送り出しながら、おっさんは、ついでのように言った。
「今度、うちの研究室に連れて行ってあげるよ」
「ありがとうございます」
「翼のない真っ黒な鳥が居るから」
「あの鳥ですか!以前、新聞にも大きく取り上げられましたよね」
僕は、その記事を見て、この大学に決めたんだ。
「遺伝子操作で、鳥から翼を奪ったのは、私なんよ」
「!」
「さっきは、ああ言ったけど、その鳥が自分のことを不憫に思っているのかいないのか、実のところ良く判からん」
ボサボサの髪をかき上げて、おっさんは苦笑いした。
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