第3章

5/5
前へ
/20ページ
次へ
僕を送り出しながら、おっさんは、ついでのように言った。 「今度、うちの研究室に連れて行ってあげるよ」 「ありがとうございます」 「翼のない真っ黒な鳥が居るから」 「あの鳥ですか!以前、新聞にも大きく取り上げられましたよね」 僕は、その記事を見て、この大学に決めたんだ。 「遺伝子操作で、鳥から翼を奪ったのは、私なんよ」 「!」 「さっきは、ああ言ったけど、その鳥が自分のことを不憫に思っているのかいないのか、実のところ良く判からん」 ボサボサの髪をかき上げて、おっさんは苦笑いした。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加