第1章

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「そろそろ、かな」 僕は、この春から大学に通う。 下宿の引越し荷物は、本を除いて全て片付いた。 電子書籍がほとんどだが、紙で見たい本もある。 もうすぐ10時、本棚兼整理棚が来る。 下宿は、築50年は軽く超えている。 青雲荘。名前からして古臭い。 木造二階建て、共同の台所に便所。 石の廊下に四畳半の京畳の部屋が、左右に4つずつ並ぶ。 僕は、この寂れ感に大学生らしさを感じ、この下宿を即決した。 『今時の学生は普通選ばないけれど、何人かに一人のツボに入る物件』と不動産屋に紹介されたが、そのツボとやらに入った大学生で、青雲荘は常に満室らしい。 空室は、この時期、学年の切り替わりに、数部屋出るくらいだそうた。
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