隣人は猫で、僕の彼女。Full Ver.

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※※※ 数日後、都内に雪が降った。 数年ぶりの大雪で、仕事中だった僕はパソコンを操作しながら、窓の外を眺める。 人通りのない場所はどんどん雪が積もり、白さを増す。 何故かこの時、僕はあの猫のことが気になってきた。 「あの猫、大丈夫かな。こんな雪じゃ、さすがに部屋に籠ってるよな…」 猫は寒さが苦手なはずだ。 だから、この大雪の中、外に出たりはしないだろうと考える。 でも、なんといえばいいのだろう。 胸騒ぎがしてならないのだ。 猫のことを頭の中から追い出しても、すぐにまた戻ってきて、僕の心をかき乱した。 都合よく、上司から、大雪の影響で帰れなくなる前に、仕事を切り上げるようにと指示が出た。 僕は会社内の誰よりも早く仕事を片付けると、一目散に自宅に向かった。
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