隣人は猫で、僕の彼女。Full Ver.

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「普段、何を食べさせてますか?」 「え?」 電柱に書かれた案内を頼りに、僕たちは動物病院に居た。 猫を診察した医師は少し冷めた目をして、僕をじっと見る。 この猫が何を食べているかなんて、飼い主じゃないから分からない。 医師の問いただすような威圧感にたじろぎ、「あ、あの……」と続ける言葉を探す。 「栄養失調気味ですね。とりあえず、栄養の高いキャットフードを出しますので、しばらくそれをちゃんと食べさせてください。それと、外には出さず、身体を温めるように」 僕は動物虐待者だと思われたのだろう。 医師は最後まで険しい表情を変えなかった。
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