81人が本棚に入れています
本棚に追加
猫は餌を目の前に用意しても、自分から食べようとしなかった。
たぶん、そんな気力もないのだろう。
ろくなご飯を食べてなかったのだろうか?
飼い主は餌を与えていなかったのか?
あの大雪の中でも、自宅に篭らずに外に出ていたのは、餌を探していたから?
今まで、お腹が空いているような素振りは一度も見せなかったのに……。
毎日、猫と顔を合わせていたのに、どうして気付かなかったのかと悔やんでも悔やみきれない。
病院から処方された柔らかい缶詰をひと肌程度に温め、猫の口の奥に少しだけ入れてやると、やっと呑み込んでくれて、僕はやっと昼間から続いていた不安感から解放される。
少しずつ、食べさせていけば、必ず良くなるはずだ。
僕は会社を休んでも、この猫をしっかり看病をすると決めた。
最初のコメントを投稿しよう!