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それは、友達と数日間、旅行に出掛けて帰ってきた連休の最終日。
今まで、一度も物音がしなかった隣部屋から、ガタンと何かが落ちる音がして、僕は目を見開いた。
気のせいだろうと思ったけれど、その音が気になってしまった僕はアパートのベランダに出て、隣部屋のベランダを覗き込もうとしてしまった。
プライバシー配慮のため、ベランダの部屋と部屋の間には仕切りが設置されていて、身体を乗り出しても限界はあるけれど、物音の存在を確かめたくなってしまったのだ。
その時、僕の耳に「止めて!」という声が聞こえた気がした。
ビクっと身体を強張らせた瞬間、何かが突然、飛び掛かってきて、僕はバランスを後ろに崩して、尻もちをついた。
恐る恐る目を開けると、ベランダの柵に1匹の猫がちょこんと座り、僕を見て「にゃあ」と鳴く。
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