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封は開けられていた。手にした封筒には“夜闘 夢 先生へ”
俺は真っ白な頭で、彼女 葛西 彰子を振り返って見つめていた。
きっと、すっごく間抜けな顔だったろう。
彼女は、かなり動揺していた。
沈黙のまま、固まって2人はしばらく立ち尽くしていた。
彼女の手に握られているトイレットペーパーが目に入り、無言のままそれを彼女の手から取り、しばし忘れられていたゴキブリを掴みトイレへと流した。
動揺している彼女の顔も見ず「じゃ…」とだけ何とか言い、俺は自分の部屋へと戻った。
頭が混乱している。心臓はフル稼働。
どういう事だ? どういう事だ?
彼女が? まさか! 出版社に勤めてるとかか?
あぁきっとそうに違いない!
少々、落ち着きを取り戻し、パソコンを付けたが…
そのまま、夕食も忘れ、ボーッと過ごしてしまっていた。
2時間程経ってしまった頃、チャイムが鳴り我に返る。
彼女だろうか?
また、ゆっくりとチャイムが1回だけ鳴った。
ピーンポーン♪
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