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彼女だと思いつつ、複雑な面持ちのままドアを開けると、そこに立っていたのは彼女では無く、いつかの隣から出て来たイケメン野郎だった。
彼は笑みを浮かべながら「どもっ!突然伺ってすみません。今から、ちょっとお時間大丈夫ですか?」と隣の部屋を指差す。
「はぁ」と、つい答えてしまいながらも、嫌な予感と不安とで押し潰されそうだった。
「まぁ、とりあえず、座りましょう」
部屋に入ると、うつむいて座る彼女が居た。男に勧められるまま座る。その正面に男も座った。
「彼女から、貴方の事はいつもよく聞いております」
男の言葉に、へぇ、俺の事なんかよく話してたんだ…一体、どんな風に話されてたんだろう?
そんな事を考える俺に男は続けた。
「先程の事もき聞きました。それで急ぎ来た訳です。お気付きになられてしまったと思いますが、彼女は、作家“夜闘 夢”です。」
俺の心臓はバックンバックンと痛み始めた。必死に平静を装うが何も声を発する事すらできない。
「自分は…」と言いながら、上着のポケットから小さなケースを出し、そこから名刺を取り出すとスッと俺の前のテーブルに置いた。
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