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でもすべてを叶えるドレスなんて、現実にはなかなか出会えない。
「申し訳ありませんがそのタイプはサテンのみになりますね」
肩を落とした私を見て、アドバイザーはマウスを操作して検索し始めた。
「一点だけあるんですが、そちらはセミオーダー品で小柄な方のサイズですね」
「セミオーダー?」
「はい。ご希望のデザインでオーダー頂き、お式の後は当店のレンタル品としてお引き受けするシステムです」
魅力的な話だけど、当然お値段も張る。聞けばレンタルより十五万円増しで、私は即座に諦めた。
ところが隣の黒木は事も無げに言った。
「それいいんじゃない?」
「えっ、もったいないですよ。一回しか着ないのに…」
「一度しか着られない訳だし、このぐらいわがまま言ったらいいのに」
そこで彼は少し声をひそめた。
「この間はケチったんだから」
それを聞いて私は首をすくめた。
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