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ところが、着れば着るほど迷うというのがドレス選びで一番よく陥るパターンらしい。
デザインはこっち。素材はあっち。パール刺繍はそっち。
「ゆっくり考えたらいいですよ」
「すみません…」
黒木は隣でゆったりとサービスのコーヒーを飲んでいるけれど、一体あれは何杯目だろう?
でも焦れば焦るほど頭の中がウニ状態になってくる。
すると私の優柔不断ぶりを見かねたのか、意外にも黒木が要望を口にした。
「僕は最初のが好きだな。一番似合ってたし」
「そうですか?じゃあこれにしようかな……。素敵だったし」
寧史への意地が匂う選択はしたくないけれど、黒木が綺麗だと思ってくれるなら。
でも一つだけ心残りがあった。
「こんなデザインで素材違いはありませんか?レース生地も捨てがたくて」
スレンダータイプはシンプルなサテン地。でも私は繊細で柔らかなレースに憧れていた。
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