3103人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
彼に生々しい説明をさせてしまったのは、私の察しが悪いから。
何か返事をしなければと彼の顔からベッドに視線を移しかけて、あまりじろじろベッドを見る訳にもいかないと気づいて、また彼の顔に視線を戻す。
顔から湯気を立てて身動きに困り固まっている私を見て、黒木がもう一度優しく口を開いた。
「それとも、シングル二つの方が落ち着く?」
そんなに遠いと、きっと私はどうやって彼に近づけばいいのか分からない。
彼を見つめたまま首を振る。
途端に空気の色がゆらりと変わった気がした。
薄暗いダウンライトを背にした黒木の目は微笑を消して、じっと私の表情を見守っている。
「あの…このままで……」
ようやく出せた声は、口がからからに渇いてかすれ声になった。
最初のコメントを投稿しよう!