素肌を彼に預ければ-2

11/24
3105人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
身体を重ねたこともない、まともに肌に触れたこともない相手と、こうして夜を共にするベッドの相談をすることの不自然さが逆になまめかしく空気の密度を上げて、息をするのも苦しいぐらいだった。 ベッドに腰かけたまま、まるで獲物になったような気分で彼を見上げると、彼もまた、今まで見たこともない表情でじっと私を見下ろしている。 私のかすかな身じろぎで擦れたシーツの衣擦れの音が静かな寝室に妙に生々しく響いた。 他人のように触れ合わずにいるのに、私たちは身体を重ねることを暗黙に合意している関係にある。 今、彼が手を伸ばせば、私に拒む理由はないと彼だって分かっているはずだ。 この状況を彼はどうするだろう?
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!