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「手を繋がれた時、無理って思っちゃったんだよね。女ってそういうのあるじゃん?」
黒木とは無理どころか私から誘ってしまったぐらいで、またあの晩を思い出して赤面してしまった。
「ちょっと里英!赤くなっちゃって、やらしーな!で、黒木主任とどうなのよ?」
「いやその…準備が忙しすぎて」
「でもキスぐらいしたよね?」
「えーと…」
「うわ、いいな!黒木主任と!」
まだ何もないなんて言ったらまるで黒木が腰抜けみたいに思われるんじゃないかと口ごもったら、美和は勝手に自己完結して盛り上がってしまった。
「で、式には呼んでくれるんでしょ?指輪は?ドレスは?」
そこからは二人女子会トークのノリになって、久々に楽しく盛り上がった。
誰とも恋の話ができなかった寧史との三年間、私はどれだけのものを諦めていたのだろう?
「ちょっと美和、まっすぐ歩いてよ」
最後はへべれけに酔っぱらった酒癖の悪い美和を駅まで引っ張って歩く羽目になったけれど、久々に気分よくほろ酔いになった私は不安も疑念も取るに足らないことのように忘れていた。
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