捨てられた女でも

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しばらく黒木は黙っていた。 せっかくいい雰囲気だったのに、こんな話に黒木を付き合わせてしまったことを少し恥ずかしく思いながら、彼が手を放さずにいてくれることを願って歩く。 寧史も私と同じく猫好きだったけれど、この話をした時の彼の反応は「野良だったら別にいいんじゃない?」だった。 今から思えば、寧史の側に居たいがあまり、大事な部分でまったく食い違っていることから私は目を逸らしてきたのだろう。 そういえば彼が欲しがるのはペットショップにいる血統書付きの綺麗な猫で、野良猫なんて嫌がるタイプだった。 まるで西野円香が血統書付きの猫で、自分が野良猫みたいな皮肉に気づいて、可笑しくなる。 同時に、寧史がこうして笑える程度の存在でしかなくなったことにも気づいて、夕暮れの空を見上げた。 黒木はどうだろう? 捨て猫でも愛してくれる人だろうか。
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