二人の温度

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「もちろん。なんだ、里英ったら見たことないんだ?」 いつか家で見られるし。 美和がニタニタ笑って煽ってくるから心の中で言い返してみたけれど、我々女子にとっては背景がオフィスであることも一味違って重要ファクターなのだ。 私の退職は五月末だから、職場の彼を見られるチャンスはあとわずか。 「ダーリンが商談で英語喋ってんのも聞いたことあるよ。もう、超萌え萌え」 「ダー……ぐふっ」 思い直して急いでかき込み始めたご飯が喉に詰まった。 「会えるといいね、ダーリンに」 マシンガントークのくせにいつのまにか完食していた美和に散々からかわれて腹を立てながら、急いで食器を片付けた。
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