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「俺は招待状を出したし、それはないだろう。同期で、同じ課で同じ仕事してるのに。それか、よほど人数を絞った披露宴なのか?」
「……」
「一昨日鉢合わせするまで、結婚するなんて噂一つ聞いたことがなかった。今破談にしても、あいつの立場に影響はないんだ」
寧史に理詰めでやり込められて、悔しいけれど何も言い返せない。
「ホテルもドレスも、金で解決できることばかりだろ?それだって言いがかりをつければ里英に被せることだってできるんだぞ」
寧史が言わんとしているのは、同僚との過去──つまり寧史との過去を理由に、黒木が私に全責任を負わせる可能性だろうか。
「彼を侮辱しないで!」
我慢ならずに怒鳴り散らした。
「彼は絶対にそんな人じゃない。寧史と一緒にしないでよ!」
「俺はどう言われても仕方ないけど、黒木もそういうことをやりかねない奴だから用心しろって言ってるんだよ」
いきり立ちすぎて、何も言葉が出てこない。
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