2833人が本棚に入れています
本棚に追加
彼は今、どんな気持ちで電話してくれているのだろう。
この電話は義務ですか……?
「今は、無理です……」
どうしてもボタンを押せず、涙声で訴えた時、まるで私の呟きが聞こえたかのように呼び出し音が止まった。
背を向けて去っていく彼に取り残されたように、途端に部屋に落ちた静寂が私の心をを締め付ける。
見下ろした画面の中では、ドレス姿の私を抱いて彼が微笑んでいた。
スレンダーなドレスを望んでくれたのは、なぜ……?
電話を取れなかった自分、かけ直すことができない自分、彼を疑ってしまう自分を責めて、もう沈黙してしまった携帯を握りしめ、声を出さずに泣いた。
取引であってもいい。
当て付けであってもいい。
理由は何だって受け止める。
でも、一つだけ知りたい。
あなたは今も、
彼女を愛していますか?
最初のコメントを投稿しよう!