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彼女はまだ何も言わない。
どう出るつもりなのだろう?
だんだんとくたびれてきたおしぼりに頼るのを諦めて顔を上げると、彼女とまともに目が合った。
美和によると確か年齢は私たちと同じだけど短大卒のため入社が二年早く、一応先輩らしい。
エクステなのか、大きな目をさらに強調する長い睫毛が印象的な、お人形のように甘い顔立ちだ。
私と彼女の共通点なんて、たぶん何もない。
黒木が私を選んでくれた理由がさらに分からなくなってきて、それなのになぜか無性に黒木に会いたくなった。
裏切られるかもしれないと知っていても、この心細さを埋められるのはやっぱり彼しかいないのだ。
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